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卒アル贈ることば2025
ご卒業、おめでとうございます!
今年は、贈る言葉として目線の話をしてみたいと思います。
幼少期のこどもは、ママ・パパたちと接する中で脳内にものまね細胞と呼ばれる「ミラーニューロン」を形成します。ミラーニューロンによって人は、自分以外の人と共感を持ち、人間関係の空気を読むことができるようになるといわれています。では、まさにそのミラーニューロン形成の初期にある小さなこどもがママに抱っこされてお散歩に出かけたときの情景を思い描いてみましょう。そのとき、外部の刺激に対し好奇心旺盛なこどもの目線は、一体どちらを向いていることが多いでしょうか? @ママを見ている、Aママと同じ方向をみている、Bママと反対の方向をみている。ものまね細胞なのだから、ママのものまねでAと思いきや、意外にもBが多いことが知られています。ミラーニューロン形成によって、ママの見ていない方を見て、ママの死角から危険が迫っていないかを見張る役割をこどもが果たそうとしているため、といわれています。この母子の関係を、母なる母体(ママ)を社会に、こどもを社会に属する人として、さらにそれを我々がよく知る大学という教育社会(ママが大学、こどもが学生)に置き換えてみるとしましょう。すると、昨今の生成AIの大学教育への進出は、どう見えてくるでしょうか。自分には、学生たちからの出力がAの同方向化・均質化・同質化を帯びてきているかのように思えてなりません。生成AIの登場によって考えることの苦痛(本来は喜びのはず)から解放された知の楽園は、本当の楽園なのでしょうか。1960年代前半アメリカ国立衛生研究所でJ・B・カルフーンらによって行われた人工的な楽園における雄雌8匹から開始したネズミの繁殖実験(ユニバース25)をご存じですか。500日を超え2,000匹を超えたあたりから、富と権力の集中が起こり、繁殖・生活意欲に乏しい毛並みのいい「美しいネズミ」の登場。やがて1,000日を待たずしてネズミ社会は繁栄から荒廃に転じ、最終的に崩壊・絶滅の途をたどります。ミラーニューロンとユニバース25の間に学術的接点は全くありません。しかし、自分には関係があるように思えてなりません。かといって自分は、生成AIの利用に反対している訳でもありません。ただ、卒業生の皆さんには、くれぐれも目線Aに陥ることなく、目線Bの姿勢も忘れずにこれから始まる本当の楽園時代をサバイバルして欲しいと願っています。ときに周囲の人と違う道を選ぶことになろうとも「楽園社会(ママ)の背後に迫る危機への警戒」を常に怠らないでいてください。ともに、この楽園社会をサバイバルできた暁には、またどこかでお会いしましょう。 それまで暫し、ごきげんよう!
工芸大のおいぼれネズミより
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