5.ホイヘンスの原理

波面がある速さで進むとき、ある瞬間における波面上の各点が、新しい波源となってそこから素元波(二次波)が生じる
これらの素元波の包絡面(全ての曲線に接する面)が次の瞬間の波面となる
このような観点から波の性質や法則を説明しようとするのがホイヘンスの原理である。

(1) 波の直進性→平面波の各点からの二次波の包絡面はやはり平面となり、直進する。
2) 波の回折 →狭い隙間からの二次波の包絡面は曲面となり、波は広がって進む。
衝立の端での二次波の包絡面も曲面となり、波が衝立の内側に回り込む。

5.1 波の反射・屈折

 波が異なる媒質の界面に入射すると、界面では波の反射屈折が起こる。界面に垂直な線(法線)からの入射波の角度iを入射角、反射波の角度rを反射角そして法線を延長した線からの、屈折した透過波との角度χを屈折角という。

波が界面で反射するとき、入射角と反射角は等しい。これを反射の法則という。また、媒質1、2での波の速さをそれぞれv、vとすると、媒質1から媒質2に波が入射する場合、入射角iと屈折角χの間には、
sini/sinχ=v/v
の関係が成り立つ。これを屈折の法則という。また、v/vを媒質2の媒質1に対する相対屈折率という。また、屈折の法則はスネルの法則ともよばれる。

5.2 ホイヘンスの原理による反射・屈折の法則の説明 

 波が媒質1から媒質2の界面に入射すると、その界面では新たに素元波が生じる。このとき、媒質1側へ広がる素元波(反射波)は媒質1を伝わる入射波と同じ速さである。一方、媒質2側へ広がる素元波(屈折波)は媒質が異なるためその速さは異なる。そこで媒質1での波の速さをv、媒質2での波の速さをvとする。

 平面波の一端が界面に斜めに到達すると、そこを波源として媒質1側には速さv、媒質2側には速さvの素元波が広がる。そしてその波源は時間と共に界面上を移動していく。そして次々に素元波が広がり、平面波の最後の一端が界面に入射したときは、界面からの素元波はそれぞれ半径の異なる円群となる。これらの円群の包絡面(平面)がそれぞれ反射波および屈折波となる
平面波が斜めに入射すると、界面AB上の各点からは、A点から順に次々と素元波が発生していく。B点から素元波が発生する時刻tには、A点からの素元波の半径はv・tである。従って、B点から、このA点からの素元波に引いた接線が反射波の波面である。このことから、波の反射の法則が説明できる。
波の屈折の場合も反射の場合と同様に、界面AB上の媒質の各点は、その点に入射波が到着するとA点から順に次々と素元波を出す。A点から素元波が発生する時刻を0とし、B点から素元波が発生する時刻をtとすると、時刻tにはA点から素元波の半径はv・tである。従って、B点から、半径v・tのA点からの素元波に引いた接線が屈折波の波面である。この場合、屈折波の方向は入射波の方向とは平行にはならず、折れ曲がる(屈折)。しかも、入射角をi、屈折角をχとすると、sini/sinχ=v/v となり、屈折の法則が説明される。


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