5.加速度→速度→位置

 次に、逆に加速度が与えられたときの物体の任意の時刻における速度と位置xを求めることを考える。物体の加速度がαとすると、速度の時間微分が

でることを意味する。そこで、速度を求めるために両辺を時間tで積分すると、

すなわち、速度)は

である。ここで、は積分定数であるが、この場合の物理的意味は式に=0を代入すれば明らかである。すなわち(0)=であるから、この場合の積分定数は物体の時刻0における速度(初速度)を表す。これは、物体の加速度がわかっただけでは物体の速度は一意的には決まらず、初速度もわかっている必要があることを示している。この場合の運動の初速度を初期条件という。ここで、物体の初速度をとすると、である。従って、求める物体の速度)は

となる。さらに、物体の速度は物体の位置xの時間微分であるから、式は、

である。そこで、物体の位置は式の両辺を時間で積分することにより、

より、

と、求められる。ここでも積分定数2の物理的意味は、式に=0を代入すると明らかとなる。すなわち、(0)=2となるから、この場合、2は時刻0における物体の位置を表す。ここでも初期条件として物体の時刻0における位置が必要となるが、以上より、時間の関数としての速度と時刻0における物体の位置が与えられれば、物体の任意の時刻における位置x(t)を決定することが出来る。ここで、物体の時刻0における位置をとすると、2であるから、物体の位置)は

となる。

 以上のことから、位置→速度→加速度と求めるには前の量を時間で微分すれば得られ、逆に、加速度→速度→位置と求めるには微分の逆演算である積分を行えば良いことがわかる。ただしこの場合の不定積分の結果には積分定数がつくので、積分定数の値を決めるための初期条件が必要となる。


<前へ戻る  メニューに戻る>