1.剛体とは?

 変形しない堅い物体を剛体という。ここでは物体を剛体として取り扱う。剛体は質点とは違い大きさ形がある。しかしながら、剛体は無数の質点の集まりと見なすこともできる。従って、剛体の運動について考える時、剛体を質点と見なせる無数の微小部分に分解して考えると便利である。剛体の運動には、
(1)並進運動
(2)回転運動
の二種類の運動がある。剛体に力が作用すると一般には、この二つの運動が生じる。

1.1 力のモーメント

 剛体を回転させる作用を力のモーメントという。力のモーメントは、回転の中心からの、力が作用する点までの位置ベクトルと作用する力とのベクトル積で定義される。
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 剛体がつり合うとは並進運動も回転運動もしないということである。すなわち、剛体のつり合いの条件は、剛体に作用する力の総和(合力)が0だけではなく、力のモーメントの総和も0となる必要がある。従って、剛体のつり合いの条件は
 かつ 
である。

1.2 偶力

 大きさが等しく、逆向きで平行な一対の力を偶力とよぶ。偶力は剛体の並進運動に対するつり合いの条件は満たしているが力のモーメントのつり合いは満たしていないので、剛体に回転運動だけを生じさせる。偶力はまた、一つの合力として表すことの出来ない一対の力である。


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