2.摩擦力

 滑らかでない水平な床の上に置かれた物体を水平方向に移動させようとするとその運動を阻止する方向に摩擦力がはたらく。摩擦力は物体に作用する力に対抗して大きくなるがその大きさには限界があり、それを最大静止摩擦力という。すなわち、物体を押す力が小さいときは摩擦力はその力とつり合うが、押す力がある程度大きくなると摩擦力に打ち勝って物体は動き始める。物体が動き始める直前の摩擦力が最大静止摩擦力である。最大静止摩擦力は、物体が床を押す力に比例し、である。ここでは床と物体との間の(静止)摩擦係数である。ならば物体は押されても動かない。

 また、(静止)摩擦係数、傾斜θの斜面上に置かれた物体は鉛直下向きにmの重力と斜面からの垂直に抗力Rをうける。重力を斜面に垂直な分力cosθと斜面に平行な分力sinθとに分けると、物体が斜面を押す力cosθと垂直抗力Rは作用・反作用の力(同じ大きさで逆向き)なのでの互いに打ち消し合い、斜面に平行な力sinθが合力となる。従って、斜面上に置かれた物体は力sinθにより斜面を滑り落ちようとするが、sinθ<cosθだと物体は摩擦力により斜面に静止する。 次に、斜面を大きく傾けていくと、sinθは次第に大きくなり、cosθは次第に小さくなる。やがて、sinθ≧cosθとなると物体は斜面を滑り落ち始める。滑り落ち始める直前の斜面の角度をθとすると、tanθである。摩擦のある斜面を物体が滑り落ち始める時の斜面の角度θ摩擦角という。摩擦角は斜面に置く物体の質量には無関係で、物体と斜面との摩擦係数だけで決まる。すなわち、摩擦角以下の傾斜の斜面では、いかに重い物体を置いても滑り落ちることは無い。 粗い床面上を物体が運動しているときにも摩擦力がはたらく。これを動摩擦力といい、このときの摩擦係数を動摩擦係数という。動摩擦係数’は静止摩擦係数より小さい


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