4. 複屈折
 
 複屈折結晶では、屈折率が直線偏光の振動方向によって異なるため、互いに直交する直線偏光成分で屈折角が異なり、光線が二つに分離する。従って、一本の線が複屈折により二本に見える。
 また、それぞれで伝播速度が異なるので結晶を透過した後に、
直交する直線偏光成分の間には位相差が生じる。
 直線偏光を楕円偏光や円偏光に、また逆に楕円偏光や円偏光を直線偏光に変える偏光素子が
λ/4板(quarter wave plate)である。
複屈折結晶
複屈折結晶(方解石)
 
 λ/4板は複屈折(double refraction)を示す結晶から作られていて、λ/4板に入射した光は、互いに直交する直線偏光成分に分かれて結晶中を伝播する。複屈折結晶では、屈折率が直線偏光の振動方向によって異なるため、互いに直交する直線偏光成分で速度が異なり,結晶を透過した後には二つの振動成分の間に位相差が生じる。この位相差が波長λの1/4(つまり位相差90°)となるように結晶の厚さを調整して作られたのがλ/4板である。λ/4板において、光が速く進む振動方向をfast軸、遅く進む振動方向をslow軸とよぶ。fast軸に対して45°の方位を持つ直線偏光をλ/4板に入射させると、その透過光はfast軸とslow軸方向で90°の位相差が生じるために円偏光となる。逆に円偏光をλ/4板に入射させると、その透過光では90°の位相差が解消されて、あるいはさらに90°の位相差がついて180°の位相差となって、直線偏光となる。
図λ/4板
 
 λ/2板(half wave plate)もλ/4板と同様であるが、透過の際に生じる位相差が180°なので、直線偏光を入射させると透過光も直線偏光となる。ただ、透過直線偏光の方位は入射直線偏光の方位とfast軸との成す角の2倍となるので、λ/2板は直線偏光の方位を回転させるために使用される。

 以上のような、偏光子(検光子)やλ/4板およびλ/2板などは、光の偏光状態を変化させるので、偏光素子とよばれる。

図λ/2板