1.質点とは?

 質量はあるが、大きさが点の物体を質点という。物理学では物体を質点とみなして、その運動について考える場合が多い。これを質点の力学といい、物体の大きさを考えに入れないので物体自身の回転運動を考えなくて済む分、力に対する物体の運動が単純となる。

1.1 糸で繋がれた二つの物体

 天井から吊るされた摩擦のない固定滑車に糸を通し、糸の両端に質量とM(>m)をとりつけ、静かに手を放すと、二つの物体はそれぞれ、上下に加速度運動を始める。このとき、糸が伸び縮みしなければ、二つの物体の加速度の大きさは同じである。そこで、加速度の大きさをα、糸が物体に及ぼす張力をTとすると、それぞれの物体の運動方程式は、
T−m=mα
−T=Mα
である。従って、物体の運動の加速度αは、
α=(M−m) /(M+m)
である。

1.2 上昇する気球から落下する物体

 一定の速度Vで上昇している気球から、質量の物体を静かに落下させた場合の運動について考える。物体は気球と一緒に運動していたので、静かに手を放しても地上から見ると、物体は慣性により、上向きの初速度を持っている。従って、地上から見た物体の運動は、ある高さから初速度で投げ上げたときの重力による運動と同じである。


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